「ONE DAY, MAYBE いつか、きっと」の光州公演は
9月3日~15日に旧・光州女子高等学校の
体育館と校舎を使って行われました。
光州女子高等学校は、1923年開校という、90年の歴史をもつ学校なのですが、2010年に新校舎に移転したそうで、現在は使われていません。光州公演は、この旧校舎の施設を生かしつつ、部屋やフロアごとに新しい体験ゾーンに入る、ミニツアーのようになっていました。
観客はチケットを受け取ったあと、待機する部屋に通されてガイド役の女優さんから説明を受けました。その後、みんなでゾロゾロと校舎に移動して行ったのですが、ショッピングカートを引いた、腰の曲がったおばあちゃんが見に来ているなぁと思ったら、後でそのおばあちゃんが役者さんだったと分かってビックリ!(笑)
ポスタービジュアルにも登場している、このおばあちゃんはこの作品の中で重要な役割を担っているんです。
旧・光州女子高等学校。会場となった左の青い屋根の建物は体育館、右のレンガ色の建物が教室 |
光州公演に参加していたのは日本と韓国の俳優さん30名弱。
ガイド役の女性もふくめ、台詞のほとんどが韓国語でしたが、時々日本の俳優さんが日本語を発する場面がありました。高知・金沢公演では、逆に日本語メインで進行されるそうです。
パフォーマンスを見た印象ですが、意外とストレートでダイレクト。
例えば、私たちアジアの人間がまったく文化圏が違う欧米に行ったとき、地元ではベーシックなことでも新鮮だったり、驚くようなことって結構ありますよね? その逆で、トリスタンさんの眼には新鮮に映ったと思われる、さまざまな韓国を象徴するキーワードが盛り込まれた公演でした。
現代の韓国社会は明洞に象徴されるコスメとカフェとファストファッションのお店が並ぶ繁華街の賑やかさや、K-POPアイドルたちの活躍、韓流ドラマ人気の定着など、表向きには明るく華やかに、ものすごい勢いで変化しながら発展しています。しかし、ここに至るまでには、光州を筆頭に、民主化運動に尽力した人、罪もなく命を落とした一般市民たちなど、多くの人の魂を犠牲にして成り立っているんだ、という近代韓国の「光と影」が切り取られた内容だと感じました。
でもこれは別に韓国だけの話ではないと思うんですよね。日本も、世界のどの国でも同じではないでしょうか? トリスタンさんがディレクターズ・ノートでも語っているように、近年の「アラブの春」⇒Wiki参照 と同じように光州事件に衝撃を受けたというのも分かるような気がします。
光州公演で、実は大きな役割を果たしていたのが、会場であるレトロな造りの校舎と施設。効果的な照明と相まって、光州事件当時の空気を感じられるように活用してあったのが印象的でした。
11月2日から始まる高知公演では夜の県立美術館が、11月28日から始まる金沢公演では美術館とタテマチストリートが会場になるそうです。それぞれに施設もシチュエーションも違うので、まったく違うパフォーマンスになるのでは? と予想しています。
上で紹介した写真のようなシーン以外にも、実はあっと驚くような仕掛けや楽しい体験ができるコーナーがあったりもして、「次はどんな体験をするんだろう?」とずっとワクワクドキドキ! まるで時間も国も飛び越えた異空間に足を踏み入れたような、不思議な体験ができると思います。そして、観終わった後にはいろんなことを考えさせられる――。とにかく、こんな公演は滅多に見られないと思うので、興味を持たれた方や、お近くにお住まいの方は「見に行って・体験して」欲しいなと思います。
光州公演の情報を検索していたら、MBCニュースで紹介された映像が出てきました。
ほんのちょっとですが、公演の様子がご覧いただけます。
「ONE DAY, MAYBE いつか、きっと」
【高知公演】
日程:11月2日(土)~11月9日(土)
会場:高知県立美術館・創作室出入口
※料金・チケット販売の詳細は⇒高知公演公式サイトへ
【金沢公演】
日程:11月28日(木)~12月8日(日)
会場:金沢21世紀美術館 シアター21・タテマチストリート
※料金・チケット販売の詳細は⇒金沢公演公式サイトへ
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