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2013年10月17日木曜日

「ONE DAY, MAYBE いつか、きっと」―① Introduction

















“光州事件”をモチーフにした、英国人アーティストの作品を日韓英共同制作で上演するパフォーマンスに縁あってお誘いいただき、9月上旬、最初の公演が行われた光州(광주)に見に行ってきました。
11月に高知と金沢で日本公演を予定している、この貴重なパフォーマンスを、ひとりでも多くの方に見てほしいなと思い、光州で体験してきた印象をレポートします!

作品のタイトルは
「ONE DAY, MAYBE いつか、きっと」作品公式サイト(3カ国語)
(韓国語タイトルは「ONE DAY, MAYBE 언젠가」)

Site-Responsive Performance(場の特性を活かしたパフォーマンス)を、ヨーロッパ各地を中心に展開している「dreamthinkspeak」を主宰するトリスタン・シャープスさんを中心に、オーディションで選出された日本と韓国の出演者と、両国のアートシーンを牽引するスタッフが共同制作した体験型アートパフォーマンスです。
↑この方がトリスタンさん。コメントは光州の街中で撮影されております(日本語字幕切替可)

 アートパフォーマンス? 光州事件? よく分からないけど何だか難しそう? と上の映像を見て思いませんでしたか?(私は思いましたよw) でも、実際体験すると、こ・れ・が、なかなか面白い! 実はトリスタンさんは過去のパフォーマンスを動画などで公開したりしていないそうなんですが、オーディエンスに「実際に見て、体験してもらいたい」からだそうなんですね。そのモットーは、私自身が体験して「なるほど!」と納得しました。ですので、興味を持たれた方は構えることなく「頭を真っ白にして」公演を見に行かれることをおすすめします^^

 しかし、この作品の根幹にある「光州事件」についてご存知の日本の方はどれくらいいるでしょうか? 私自身もきちんとこの事件の内容を把握したのは、韓国関連の仕事を始めてからでした。このパフォーマンスを見るにあたり、事件について知っているのと知らないのでは印象がずいぶん変わると感じたので、私もまだまだ勉強不足ですが、まずは簡単に紹介してみようと思います。

 韓国では歴史的事件を、日にちの数字で呼ぶことが多いため、韓国では「5.18(オーイルパル)」と言えば「光州事件」のことを指します。「5.18光州民主化運動(5.18광주 민주화 운동)」というのが正式な呼称。1980年の5月18日に民主化を求める光州市民と軍が衝突し、多くの死傷者を出した事件です。

 韓国映画やドラマ、そして演劇など韓国の近代史を扱った作品ならば、避けて通れない出来事のひとつ。この時代のことを知っておくと、さまざまな物語への理解が一層深まると思います。
「光州事件」にまつわる作品で、特に代表的なのが以下の3作。(各タイトルはAmazonにリンク)

(イ・チャンドン監督/99年/主演:ソル・ギョング)
光州事件をきっかけに時代に飲み込まれてしまった男の人生を回顧する作品。
個人的に初めて見た韓国映画はこの作品でした。ソル様、お若い^^


(キム・ジフン監督/07年/主演:アン・ソンギ、キム・サンギョン)
「木浦は港だ」「第7鉱区」「ザ・タワー~高層ビル火災」のキム・ジフン監督が、
市民の目線で事件を正面からドラマチックに描いた作品。イ・ジュンギも出てます。

ドラマ「砂時計」
(キム・ジョンハク監督/95年/主演:チェ・ミンス、パク・サンウォン、コ・ヒョンジョン)
 平均視聴率が50%を超えた国民的ヒット作。韓国語で砂時計のことを모래시계(モレシゲ)というのですが、当時、放送時間になると街から人がいなくなったそうで「帰宅時計(귀가시계)」とも呼ばれていたそうです。主演の3人が、未だにカリスマ的支持を得られているのはこの作品のため。
今年、惜しくも亡くなられたキム・ジョンハク監督によるニュース映像を盛り込んだ、リアルな演出はかなり斬新で、独特の悲哀を感じるBGMは一聴すれば韓国の人ならば誰もが知っているメロディー。今でもバラエティなどで良く使われています。最近でも、ドラマ「紳士の品格」でもチャン・ドンゴンほか男友達4人が学生時代にハマったドラマとして出てきていました。

3作いずれも、作品自体とても素晴らしいので、光州事件を学ぶには良い素材ですよ^^


観光ガイドブックと光州公演のフライヤーなど
今回光州を初訪問して改めて感じたのは、負の歴史を背負った街というよりも市民がプライドを守り通し、民主化へ向かうきっかけになった出来事が起きた街、と捉えられていたことでした。
事件に関連した場所を観光資源にしていて、日本語や英語、中国語のガイドマップや解説本など充実しています。観光案内所で無料配布されているので、今後光州を訪れる方はぜひ活用してみてください。


滞在が1日と短かったので、観光スポットのなかで、5.18記念会館と記念公園、旧道庁前広場だけ見ることができました。(天気が悪く、写真がよくないですがご了承を)

「5.18記念文化館」に展示してあった旧道庁前広場の80年当時の写真(左)と、現在(右)





5.18記念公園の地下にあるレリーフ。反対側には犠牲者名簿が壁に刻まれている




5.18記念公園を象徴する銅像。後ろから眺めると
自由に向かっている若者たちのようにも見える
















市内の主要な観光スポットを経由するバスは、なんと番号が「518」番!
観光ウォーキングガイドに載っていた観光コースの名前が、「5月人権の道~魂コース」とか「5月民衆の道~市民軍コース」とか、結構すごいネーミングで衝撃を受けましたが(笑)

●VISIT KOREA
●KONEST
でも光州のガイドページがありますよ。

光州は、現代アートシーンでは
アジア最大級の
「光州ビエンナーレ」⇒公式サイト を
2年に1回、偶数年に開催していることでも知られています(次の開催は来年)。
「Asian Culture Complex」
⇒公式サイト という、アジアの現代アートの拠点となるような巨大施設が2015年オープン予定。「ONE DAY, MAYBE いつか、きっと」は、そのオープンに向けたプレイベントのひとつとして行われたんですよ。 いま、旧道庁前広場を中心にした大規模工事が行われていて、工事中のフェンスやテントにはグラフィティからハンドペインティングまで、いろんな絵が描いてありました。(写真上)殺風景にならないよう工夫がしてあるのは、さすがアートの街! 加えて、昔ながらの市場、大仁(デイン)市場の中には、あちこちにギャラリーやアートスポットがあったりするんです。

魚や肉を売っている横でアート作品を展示している、このカオスたるや!

大仁市場の中にある「Ugro」というギャラリーカフェ
食堂にもカワイイ絵が描いてあったり、ハンドクラフトギャラリーがあったり。




 韓国の古き良き空気を色濃く残している一方で、今やアジアの現代アートの拠点となっている光州。このユニークな街で、英国のアーティストが、韓国の近代化の礎を築いた「光州事件」をアートパフォーマンスにする――。
よ~く考えると、なかなか凄いことだと思いませんか?

そのパフォーマンスの様子を、⇒次のページでご紹介します!

「ONE DAY, MAYBE いつか、きっと」―② Performance


「ONE DAY, MAYBE いつか、きっと」の光州公演は
9月3日~15日に旧・光州女子高等学校の
体育館と校舎を使って行われました。

 光州女子高等学校は、1923年開校という、90年の歴史をもつ学校なのですが、2010年に新校舎に移転したそうで、現在は使われていません。光州公演は、この旧校舎の施設を生かしつつ、部屋やフロアごとに新しい体験ゾーンに入る、ミニツアーのようになっていました。

 観客はチケットを受け取ったあと、待機する部屋に通されてガイド役の女優さんから説明を受けました。その後、みんなでゾロゾロと校舎に移動して行ったのですが、ショッピングカートを引いた、腰の曲がったおばあちゃんが見に来ているなぁと思ったら、後でそのおばあちゃんが役者さんだったと分かってビックリ!(笑)
ポスタービジュアルにも登場している、このおばあちゃんはこの作品の中で重要な役割を担っているんです。
旧・光州女子高等学校。会場となった左の青い屋根の建物は体育館、右のレンガ色の建物が教室
以下、光州公演の一部を写真でご紹介します。

 光州公演に参加していたのは日本と韓国の俳優さん30名弱。
ガイド役の女性もふくめ、台詞のほとんどが韓国語でしたが、時々日本の俳優さんが日本語を発する場面がありました。高知・金沢公演では、逆に日本語メインで進行されるそうです。

 パフォーマンスを見た印象ですが、意外とストレートでダイレクト。
例えば、私たちアジアの人間がまったく文化圏が違う欧米に行ったとき、地元ではベーシックなことでも新鮮だったり、驚くようなことって結構ありますよね? その逆で、トリスタンさんの眼には新鮮に映ったと思われる、さまざまな韓国を象徴するキーワードが盛り込まれた公演でした。
 現代の韓国社会は明洞に象徴されるコスメとカフェとファストファッションのお店が並ぶ繁華街の賑やかさや、K-POPアイドルたちの活躍、韓流ドラマ人気の定着など、表向きには明るく華やかに、ものすごい勢いで変化しながら発展しています。しかし、ここに至るまでには、光州を筆頭に、民主化運動に尽力した人、罪もなく命を落とした一般市民たちなど、多くの人の魂を犠牲にして成り立っているんだ、という近代韓国の「光と影」が切り取られた内容だと感じました。
 でもこれは別に韓国だけの話ではないと思うんですよね。日本も、世界のどの国でも同じではないでしょうか? トリスタンさんがディレクターズ・ノートでも語っているように、近年の「アラブの春」⇒Wiki参照 と同じように光州事件に衝撃を受けたというのも分かるような気がします。

 光州公演で、実は大きな役割を果たしていたのが、会場であるレトロな造りの校舎と施設。効果的な照明と相まって、光州事件当時の空気を感じられるように活用してあったのが印象的でした。
11月2日から始まる高知公演では夜の県立美術館が、11月28日から始まる金沢公演では美術館とタテマチストリートが会場になるそうです。それぞれに施設もシチュエーションも違うので、まったく違うパフォーマンスになるのでは? と予想しています。
 上で紹介した写真のようなシーン以外にも、実はあっと驚くような仕掛けや楽しい体験ができるコーナーがあったりもして、「次はどんな体験をするんだろう?」とずっとワクワクドキドキ! まるで時間も国も飛び越えた異空間に足を踏み入れたような、不思議な体験ができると思います。そして、観終わった後にはいろんなことを考えさせられる――。とにかく、こんな公演は滅多に見られないと思うので、興味を持たれた方や、お近くにお住まいの方は「見に行って・体験して」欲しいなと思います。

光州公演の情報を検索していたら、MBCニュースで紹介された映像が出てきました。
ほんのちょっとですが、公演の様子がご覧いただけます。


「ONE DAY, MAYBE いつか、きっと」

【高知公演】
日程:11月2日(土)~11月9日(土)
会場:高知県立美術館・創作室出入口
※料金・チケット販売の詳細は⇒高知公演公式サイト

【金沢公演】
日程:11月28日(木)~12月8日(日)
会場:金沢21世紀美術館 シアター21・タテマチストリート
※料金・チケット販売の詳細は⇒金沢公演公式サイト



2013年10月6日日曜日

韓国ミュージカル&演劇 10月‐11月のオススメ作品

秋夕連休が過ぎてから、韓国は急に涼しくなってきました。
とくに夜はかなり肌寒くなってきています。これから来韓を考えている方は、ジャケットやスカーフなど、脱ぎ着して温度調整できるはおりものを持ってお越しくださいね。
これから冬にかけて、良質な新作が充実してくる時期。現在、新しい情報が続々解禁中ですので、発表され次第、随時情報を追加していきます。

では、解説長~~いですが、10月~11月のオススメ作品をご紹介します。


12月スタートの「ウェルテル」はイム・テギョンとオム・ギジュンの2トップで上演!来年3月には来日公演も。


以前からお願いしておりますが、全ブログ記事の商用記事、サイトへの流用は禁止です。
個人ブログへの無断コピーもご遠慮いただけますようお願いします。


作品のタイトルにはすべて韓国のチケットサイト
インターパーク(인터파크) http://ticket.interpark.com/ のリンクを張っています。
詳細情報はリンク先(韓国語)でご確認ください。

日本からチケットを直接買えるのは

VISIT SEOUL (ソウル市観光情報サイト)

●インターパークグローバル(英語版) (日本語版)

※現在は大型作品や話題作のみ直接購入できます。中・小劇場ミュージカルや演劇は、よほどの人気作でない限り、売り切れることは稀ですので当日劇場に行って買えると思います。

※大学路で上演される中小劇場作品は、地下鉄4号線・恵化(ヘファ)駅の4番出口を出てすぐのところにある、「ソウル演劇センター」か、2番出口を出てすぐのところにある「良い公演紹介所」では、ディスカウント価格で当日券を買えるチケット販売所があります。(大学路で上演しているすべての作品を扱っているわけではありませんので要注意)


<10月上演のオススメ作品>
※作品の並びは公演終了日が早い順です。
再演の作品など、私が見たことがある作品は、個人的オススメ度を5段階の★でつけています。

=========【大劇場ミュージカル】=========

「ボニー&クライド」
上演中~10月27日 忠武アートホール大劇場
出演:オム・ギジュン、ハン・チサン、Key、パク・ヒョンシク、アン・ユジン、リサ、ダナほか
⇒1930年代に実在したギャング、クライド・バロウとその恋人ボニー・パーカーの物語。日本でも田代万里生&濱田めぐみ共演で昨年上演されました。先日のプレスコールで見た印象だと、登場人物たちのクラシックなアメリカの空気が感じられる衣装やメイクが印象的で、大人のカップルの物語だけに(?)キスシーンやセクシーなシーンが多かったです。観劇前に、映画「俺たちに明日はない」をご覧になっておくと、ストーリーを理解しやすいと思います。
プレスコールでは何気に、ボニーに片想いする警察官テッド役のキム・ボムレのソロが良かった。普段はアクの強いキャラが多い彼が、ベーシックな役もちゃんとできることを見せてくれていますよ。

「ノートルダム・ド・パリ」
上演中~11月17日 ブルースクエア サムソン電子ホール
出演:ホン・グァンホ、ユン・ヒョンリョル、パダ、ユン・ゴンジュ、マイケル・リー、チョン・ドンソク
⇒15世紀のパリを舞台に、ジプシーの娘エスメラルダを巡る3人の男たちの愛と葛藤をドラマチックに描く大作。韓国ミュージカルの隆盛期、2007年から上演。ミュージカルファンには特に人気の高い作品のひとつなんですが、一筋縄ではいかない恋路を描いたストーリーは韓国ドラマなどでもよくあるシチュエーションなので、韓国の人たちがこの物語にカタルシスを覚えるのも分かります(笑)
 キャストは、この作品に初演から出演しつづけ名を上げたユン・ヒョンリョルに、今回初出演となるホン・グァンホが加わり、史上最強の鐘つき男カジモド役が揃いました。
 プレスコールで見た印象だと、大きな輪に繋がれて回るカジモド、天上から釣られているセットの上で歌うクロパン、大きな袋(!?)に吊り上げられるグランゴワールなど、アクロバティックなシーンが多いです。そして、とにかく歌が下手な人は一人もいません! 大がかりなセットやアクション、実力派俳優の演技と歌声、と見ごたえある作品なのは間違いないですよ。

「ヨセフ・アメージング・テクニカラー・ドリームコート」
10月29日~12月12日 ユニバーサル・アートセンター
出演:チョン・ドンハ(復活)、パク・ヨンス、キム・スンデ、ヨソプ(BEAST)ほか
⇒原題は「ヨセフ・アンド・ザ・アメージング…」と、and the が入りますが、韓国題は抜いてあります。
「ジーザス・クライスト・スーパースター」を生んだ、アンドリュー・ロイド・ウェーバー&ティム・ライスコンビが学生時代に旧約聖書の「ヨセフの物語」をベースに創作。11人兄弟の末っ子として生まれ、父ヤコブに最も可愛がられたヨセフが、他の10人の異母兄弟に妬まれ隊商に売られた後、さまざまな受難を経て成功をつかんでいく物語。今年春に韓国初演して、スコアもいいしアンサンブルのレベルも素晴らしかったのに、今一つ集客できず残念に思っていたのですが、キャストを替えて、なかなか良い感じの顔ぶれです。今度はもう少し多くの人に見てもらえるんじゃないかな。「JCS」にハマった方なら、見ておいて損はないと思いますよ。★★★★
※当初発表されていた公演日程、劇場が変更になっています。ご注意を~!

「ガイズ&ドールズ」 
11月1日~2014年1月5日 BBCシアター
出演:キム・ダヒョン、リュ・スヨン、ソン・ウォングン、キム・ジウ、イ・ハニ、イ・ユル
⇒賭博師ネイサンに話を持ち込まれ、プレイボーイのスカイは、真面目な伝道師の娘サラを口説けるか賭けをする。はじめは勝負に勝ちたいだけだったスカイだったが、だんだんと純粋なサラに惹かれていき……。1920年代のNYを舞台に、賭博師と伝道師の娘、という正反対の世界に住む男女の恋を軽快な音楽とダンスを交えてて見せるラブコメディ。韓国語タイトルは「お嬢さんとごろつきたち」ということで、このタイトルのほうが内容をストレートに表していますね^^ かつてはリュ・ジョンハン、キム・ムヨルなどが演じたスカイ役には現在MBCのドラマ、バラエティで活躍する3人が、ヒロインのサラ役の2人も、ドラマにも出演している女優ということで、知名度ある俳優で固めてあるので盛り上がりそうですね^^

「ラ・マンチャの男」 
11月19日~2014年2月19日 忠武アートホール大劇場
出演:チョ・スンウ、チョン・ソンファ、キム・ソニョン、イ・ヨンミ、ソ・ヨンジュ、チョン・サンフン
⇒韓国では「ジキル&ハイド」と並んで、不動の人気を誇る英雄譚。投獄された劇作家セルバンテスが、自分が書いた脚本を処分されるのを防ごうと、囚人たちに役を与えて“獄中劇”を上演します。そこで登場するのが田舎の老騎士キハーナ(ドン・キホーテ)と従者サンチョ。そしてキハーナがお姫様“ドルシネア”と妄想する、売春婦のアルドンサ。騎士道精神を貫こうとするキハーナとサンチョコンビの活躍は、コミカルで楽しいシーンが満載です。今年は2007年の来日公演以来となる、チョ・スンウ&チョン・ソンファがW主演、アルドンサ役のキム・ソニョンも2007年来日公演に出演していました。もう一人のアルドンサ役イ・ヨンミ、サンチョ役のチョン・サンフンは今年初出演ですが、観客の期待に必ず応えてくれるはずです^^

「ウィキッド」 
11月22日~ シャーロッテ劇場
出演:オク・チュヒョン、パク・ヘナ、チョン・ソナ、キム・ボギョン、イ・ジフン、チョン・サンウン
⇒昨年、オリジナルプロダクションの来韓公演が、完売に次ぐ完売で爆発的ヒットとなった作品が、いよいよ韓国キャストで初上演です。日本では劇団四季の上演で、すでにおなじみの作品ですね^^
 緑色の顔で、周囲から疎まれていたエルファバとお姫様のようなブロンド美女グリンダが大学に入学して、寮のルームメイトとなります。序盤はアメリカの学園ドラマそのままのストーリーなんですが(笑)「オズの魔法使い」がベースになっているため、後半、自らの能力に覚醒していくエルファバの描写は圧巻です。エルファバ、グリンダともに役にピッタリの女優陣。イケメン王子フィエロ役を「エリザベート」のルキーニ役が絶賛されたイ・ジフンと、「レミゼ」のマリウス役を1年間一人で演じ通したチョン・サンウンという人気上昇中の2人が演じるのも注目です。
※現在発表中の日程は1次販売分です。

「ゴースト」 
11月24日~12月22日 D-CUBEアートセンター
出演:チュウォン、キム・ジュンヒョン、キム・ウヒョン、IVY、パク・ジヨン、チェ・ジョンウォン
⇒デミ・ムーア&パトリック・スウェイジ主演で1990年に公開された映画「ゴースト/ニューヨークの幻」を英ウエストエンドでミュージカル化した作品が、韓国キャストで初演されます。もうミュージカルには戻ってこないかと思っていたチュウォンが久々に舞台復帰。ほか、日本版「レミゼ」バルジャン、キム・ジュンヒョン、韓国版「レミゼ」アンジョルラス、キム・ウヒョンと旬な男優が究極の二枚目を演じます。ヒロインは大作の主演が続くIVYと「レミゼ」のエボニーヌ役が好評だったパク・ジヨン。例のバックハグ陶芸シーンとかあるんでしょうねぇ(笑)

「マンマ・ミーア」 (来韓公演)
11月26日~2014年3月23日 ブルースクエアサムソン電子ホール
⇒70年代ポップスの金字塔、ABBAの大ヒット曲でつづるジュークボックス・ミュージカル。ギリシャのホテルオーナーの娘が結婚することになり、母親に内緒で父親候補(?)とされる3人の男性を招待したことで起こる騒動が楽しく描かれます。韓国で「マンマ・ミーア」上演10周年となるのを記念した、オリジナルプロダクションの来韓公演となります。


========【中・小劇場ミュージカル】=========

「キム・ジョンウク探し」(邦題:あなたの初恋探します)
上演中~オープンラン プティツェルシアター(旧カルチャースペースNU)
⇒2006年の初演から多数の人気俳優を生んだ登竜門的作品であり、「あの日々」「兄弟は勇敢だ!?」を生んだ作・演出のチャン・ユジョンの出世作でもある小劇場ミュージカルの代表作。超新星のユナク主演の来日公演が11月に行われます。
 物語はヒロインがインド旅行中に知り合い恋に落ちた“キム・ジョンウク”という男性を探すために、「初恋探し探偵事務所」を始めたばかりの男(役名は俳優自身の名前を使います)に依頼するところからスタート。出演者は3人のみで、男性主人公はジョンウクと探偵の一人二役、それにヒロイン役と、“マルチマン”と呼ばれる20人以上のいろんな登場人物を一人でこなす男優が出演します。
このミュージカルを原作にチャン・ユジョン自身の監督により映画化された「あなたの初恋探します」には歴代出演者や舞台俳優が多数カメオ出演するので、予習に見るのは楽しいんですが、舞台版とはだいぶ違う部分がありますのでご注意を。★★★
※当初の予定から公演期間が延長されました。

「パルレ(洗濯)」
10月11日~11月30日 大学路アートワンシアター2館
出演:チョン・ムンソン、キム・ギョンス、イ・ジュニョク、イ・ギュヒョン、クァク・ソニョン
⇒日本版も評価が高い、韓国の“情”を感じることができる名作です。田舎からソウルに上京して書店員として働くヒロイン、ナヨンと、不法滞在しながら工場で働くモンゴル人青年ソロンゴの恋と人間模様が温かく描かれます。昨年2000回公演を超え、今年で8年目。過去にはホン・グァンホ、キム・ジェボム、ソン・ドゥソプなどの人気俳優を輩出しています。10月から始まる第14シーズンは、ソロンゴ経験者のチョン・ムンソン、イ・ジュニョク、イ・ギュヒョンと、人気俳優が戻ってきます。★★★★★

「ブラック メリー・ポピンズ」
上演中~10月27日 東国大学イ・ヘラン芸術劇場
出演:キム・ジェボム、イ・ギョンス、パク・ハングン、ユン・ソホ、キム・ドビンほか
⇒ドイツの著名な心理学者の研究対象として養子縁組された4人の少年少女。ある日学者の邸宅が大火災となるも、4人の乳母であるメアリー・シュミットは子供たちを救出。しかしメアリーは翌日忽然と姿を消してしまい、子供たちは散り散りに養子にもらわれていく。それから4年後、再会した4人は…。
タイトルから海外のライセンスものかと思われがちですが、韓国オリジナルのサスペンスミュージカル。
昨年の初演では、独特の曲の旋律と振付が印象的で、ミステリー作品としても面白い作品でした。
今年は「風月主」「兄弟は勇敢だった!?」などの来日公演にも主演したキム・ジェボムが、ストーリーテラーも兼ねた長男ハンス役に。「女神様が見てる」「スリル・ミー」「バンジージャンプする」と話題作に次々と出演している若手注目株のユン・ソホが次男ヘルマン役など、初演とはキャストが総入れ替えとなっています。昨年よりも振付の部分が減り、ミュージカルというより歌つきの演劇という印象がより強くなりました。後半の畳み掛けるような種明かしがなかなかスリリングです。★★★☆
※当初の予定から公演期間が延長されました。

「オー!あなたが寝てる間に」
上演中~10月31日 大学路芸術広場1館
出演:イ・ヒョン、イム・ジョンワン、パク・セウン、アン・ドゥホ、カン・ジョンウ、チェ・ソヨンほか
⇒「女神様が見てる」「劇的な一夜」などの人気作を生んだヨヌ舞台が初めて制作した小劇場ミュージカル。「あの日々」「兄弟は勇敢だった!?」「キム・ジョンウク探し」の作・演出チャン・ユジョンが名を上げるきっかけとなった作品で、2005年から定期的に上演しています。カトリック財団が運営する無料病院に入院していた半身不随の男性患者が忽然と失踪。院長、医師、ボランティアの女性、患者たちが抱える背景を描きつつ、男性が失踪した原因を探っていきます。過去にキム・ジェボム、シン・ソンミン、チェ・ホジュン、イ・ギュヒョン、チュ・ミンジンなど現在大学路で活躍中の俳優たちが出演していた作品で、コミカルな物語のなかにも、韓国のリアルな社会問題を盛り込んだ話になっています。★★★

「トライアングル」
上演中~11月10日 サンミョンアートホール1館
出演:キム・ジョング、チョン・ムンソン、イ・ギュヒョン、キム・デジョン、チョン・ウスほか
パルコ劇場で上演された「トライアングル~ルームシェアのすすめ」が原作。2010年にチェ・ジェウン、キム・スンデらが出演して韓国版を初演したのですが、それから3年ぶりに再演です。
作家志望の青年とその隣に住むロックミュージシャンの男、そしてその男を追いかけるストーカーの女の子が一緒に住むことになって起こるドタバタを楽しく描きます。今年のキャストは大劇場作品でも活躍する上手い役者が揃っていて、誰の回で見ても面白そうです。★★☆

「印塘水(インダンス)愛歌」
上演中~11月3日 弘益大 大学路アートセンター 大劇場
出演:イム・ガンヒ、ユ・リア、パク・ジョンピョ、イ・チャンヨン、チョン・ソンウ、コ・ヨンビン
⇒韓国では誰もが知る古典「春香伝(チュニャンジョン)」「沈清伝(シムチョンジョン)」の有名エピソードをミックスして、両班の青年モンリョンと恋に落ちたチュニャンのラブストーリーをパンソリをベースにしたミュージカルに仕上げた作品。2人の恋路を阻む悪役ピョン・ハクドや、下男のパンジャなど、キャラクターの名前は「春香伝」に倣っています。モンリョン役は「兄弟は勇敢だった!?」のパク・ジュンピョ、「風月主」のイ・チャンヨン、「恋の駆け引きの誕生」のチョン・ソンウと、偶然にも今年アミューズミュージカルシアターで来日公演を行った作品に主演した男優が揃っています。加えて、ピョン・ハクド役にはコ・ヨンビン&イ・ソクジュンと魅力的なベテラン2人が揃いました。この作品に格別の愛情を注いでいるというイム・ガンヒのチュニャン役が素晴らしいですよ! ★★★

「オール・ザット・ジャズ~ラブ・イン・ニューヨーク」
上演中~11月7日 成均館大学 新千年ホール
出演:チェ・ソンウォン、パク・シボム、フィ、イ・スワン、フナ、チェ・スア、キム・ミンジ
⇒一見ライセンスもののようですが、2010年に初演した韓国オリジナルミュージカルで、ボブ・フォッシーの映画「オール・ザット・ジャズ」よろしく、軽快なジャズと華麗なダンスシーンが楽しめる作品。
初演では主人公テミン役を、ムン・ジョンウォン(「レミゼ」ジャベール、「ノートルダム」クロパン)、再演ではカン・テウル(「あの日々」ジョンハク、「マーダー・バラッド」トム)が演じていました。今年は、最近驚異的なダイエットに成功したチェ・ソンウォン(「サ・ビ・タ」「アサシンズ」)ほか、4人が務めます。

「グーテンベルグ!」
上演中~11月10日 忠武アートホール 中劇場ブラック
出演:ソン・ヨンジン、チャン・ヒョンドク、チョン・サンフン、チョン・ウォニョン
⇒2006年にオフブロードウェイでスタートしたコメディ2人劇「Gutenberg! The Musical」の韓国版初演です。ブロードウェイを夢見て小劇場でリーディング公演をするバド&ダグが、活版印刷の祖として知られるグーテンベルグの物語を上演。平凡なワイン製造業だったグーテンベルグが、活版印刷機を発明したことで周囲の人々との関わりが変わっていきます。グーテンベルグが想う女性の名前がヘルベチカ(これは文字のフォントの名前です)、修道士、酔っ払い1、2など、劇中のバド&ダグが登場人物のキャラ名を書いた帽子をとっかえひっかえ被り、2人で数十人の登場人物を演じます。ブロードウェイを目標としているというだけに、劇中では「ジキハイ」「ファントム」「ラ・マンチャ」などさまざまな有名ミュージカルのパロディも散りばめつつ、俳優2人は汗びっしょりになりながらしゃべりっぱなし、動きっぱなしの2時間です。
 このところ4作品続けて同じ作品に出演しているソン・ヨンジン&チャン・ヒョンドク、コメディの達人チョン・サンフン、快活なイメージが魅力のチョン・ウォニョンと、韓国舞台ファンたちが必ず観たいと思う4人が揃い、斬新な作品性もあって、いろんな組み合わせで見たくなる作品です。★★★☆

「バンジージャンプする」
上演中~11月17日 ドゥサンアートセンター ヨンガンホール
出演:カン・ピルソク、ソン・ドゥソプ、チョン・ミド、キム・ジヒョン、イ・ジェギュン、ユン・ソホ
⇒イ・ビョンホン&イ・ウンジュ主演で2001年に韓国公開された同名映画が原作。「JSA」と並びイ・ビョンホンの人気を決定づけた映画です。昨年ミュージカル化すると知ったときは、この難しいストーリーをどうやるんだろう?と正直思っていたのですが、実際に舞台を見てビックリ! 見事に昇華してありました。スコアのメロディーも美しく、昨年の創作ミュージカルのなかではマイベストです。
 再演では、初演で素晴らしい演技を披露していたカン・ピルソク、チョン・ミドに加え、人気上昇中のソン・ドゥソプ、キム・ジヒョンが入り、どの組み合わせで見てもいい顔ぶれ。加えて「スリル・ミー」経験者でもある高校生ヒョンビン役のイ・ジェギュンとユン・ソホも、この作品では魅力倍増です。今秋の創作ミュージカルのなかでは個人的イチオシ! ぜひ多くの人に見てほしいです。★★★★

「ザ・コロス:オイディプス」
10月9日~20日 LGアートセンター舞台架設センター
出演:パク・ヘス、パク・インベ、イム・ガンヒ、イ・ガプソン、イム・チョルス、オ・チャヌほか
⇒2011年の初演時にチケットが完売したという話題作を再演。「皇太子失踪事件」など、オリジナリティあるクリエイションが注目を浴びているソ・ジェヒョン演出家による作品です。キャスト的ポイントは「女神様がみてる」で北の兵士チャンソプをWキャストで演じていたパク・ヘスとイム・チョルスが出演していること。そして「ネクスト・トゥ・ノーマル」「アサシンズ」「ラ・マンチャの男」などの話題作への出演が続く二枚目パク・インベなど、(個人的には)なかなか興味を惹かれる男優が出演しています。

「飛べ、パクさん!」
10月9日~11月25日 梨花女子大学 サムソンホール
出演:ホン・リュニ、オム・テリ、ハン・ボラ、キム・ヨンナム、キム・イサクほか
⇒昨年大邱とソウルのミュージカルフェスティバルで受賞し、本公演を実現。今春「女神様がみてる」とともに、新作の創作ミュージカルとしては異例の大ヒットとなった作品が、中劇場サイズにグレードアップして再演。演出家、作家、音楽監督、歌手出身俳優に、ミュージカル俳優たち…とワガママ言いたい放題の人々に振り回される、劇団のカンパニーマネジャー(制作責任者って感じですかね?)であるヒロインの日常を描いた作品。舞台制作の裏側のリアルなエピソードが満載で、有名ミュージカルのパロディなんかも入り、粗削りながら初演はなかなか面白かったですよ。★★★☆

「ミア・ファミリア」
10月15日~2014年1月5日 忠武アートホール 小劇場ブルー
出演:イ・スンヒョン、ユ・ソンジェ、チャン・ギョンウォン
⇒「ママ、ドント・クライ」「美男<イケメン>ですね」などを手がけたキム・ウンギ演出、イ・ヒジュン脚本家コンビが贈る新作。イ・スンヒョンは自身もミュージシャンで「光化門恋歌2」「モビーディック」「オーディション」など音楽がテーマの作品に多数出演してきた人。ユ・ソンジェも「モビーディック」への出演経験ありです。バンドが入るそうですので、音楽劇っぽい感じなのかな? どんな作品になるのか楽しみです。

「グリース」
10月22日~オープンラン 大学路ユニプレックス1館
出演:ジョンミン、カン・ミンス、キム・ボソン、ユン・ジュノ、イ・ヒョク、キム・ヨンギュ
⇒コ・ヨンビン、オ・マンソク、オム・ギジュン、チェ・ジェウン、ソン・ヨンジン、キム・ムヨル、チョン・サンユン……と、この作品を通ってないミュージカル俳優はいないんじゃないかというくらいの定番作。ドラマでブレイク前のチ・ヒョヌやカン・ジファンもかつて出演していました。
夏のバカンス中に出会い恋に落ちたダニーとサンディ。サンディが夏休みを終えて転校した学校で、実は札付きの不良だったダニーと再会して起こる出来事を楽しく描く学園ミュージカル。同名ミュージカルをもとにしたジョン・トラボルタ主演映画「グリース」を見ておくと、話が分かりやすいと思います。久々に大学路に戻ってきた「グリース」、SMアートホール前に新しくできた、大学路ユニプレックスという劇場ビルのこけら落とし作品になります。★★★

「マーダー・バラッド」
11月5日~2014年1月26日 ロッテカードアートホール
出演:チェ・ジェウン、カン・テウル、ハン・チサン、ソン・ドゥソプ、イム・ジョンヒ、チャン・ウナ
⇒若い頃に激しい恋に落ちたものの、長くは続かなかったサラとトム。サラは深く傷ついた彼女の心を癒してくれた優しい男マイケルと結婚、子供もできて幸せな日々を送っていた。だが、変化のない毎日に疲れはじめたサラはトムに会いに行き、愛を再燃させるのですが……。
 2012年からオフブロードウェイで上演された話題作を早くも韓国版で上演。トム役には旬の男優4人が揃いましたが、若干女優陣が弱いのが気になります。プロットだけ見ると演劇「クローサー」のロック・ミュージカル版という感じですが、ライブハウス形式、(おそらく)からみが多いセクシー度が高い作品のようで、韓国の(女性の)観客に受け入れられるかどうか、幕が上がって見ないと分からないですね。

壁抜け男」
11月13日~2014年1月26日 弘益大 大学路アートセンター
出演:イ・ジョンヒョク、マイケル・リー、キム・ドンワン、コ・チャンソク、イム・チョリョン
⇒平凡な市役所職員として働いていたデュティユルが、ある日突然手に入れた壁を抜ける能力を利用して貧しい人々や苦しんでいる人を密かに助け、街では謎のヒーローの話題でもちきりに。だが、その壁を抜ける能力は、女性を愛してしまうと消えてしまうと医者に忠告されるのですが、想いを寄せていた美しい人妻、イザベルが夫に軟禁されていると知って……。
 劇団四季の日本版でもおなじみのフランス発ミュージカル。主人公デュティユルに、昨年の公演にも出演していたイ・ジョンヒョクに、「ノートルダム・ド・パリ」にも出演中のマイケル・リー、そしてSHINHWAのキム・ドンワンと、新メンバーが加わりました。デュティユルの切ない恋物語を彩る、数々の映画音楽で知られるミシェル・ルグランによる美しいスコアも聴きどころです。★★★☆

「風月主」
11月19日~2014年2月16日 トンスンアートセンター トンスンホール
出演:チョン・サンユン、チョ・ブンレ、シン・ソンミン、ペ・ドゥフン、キム・ジヒョンほか
⇒新羅時代、身分の高い女性の相手をする男妓生が集う妓房(キバン)が舞台。一番人気のヨルは真聖女王の寵愛を受けていたが、彼の心は幼い頃から常に一緒だったサダムにあった。ヨルの子を身ごもった女王は、サダムにヨルの出世を阻まないよう脅しをかけるのですが……。
 架空の男妓生の切ない愛を描いた昨年の初演が好評で、今年来日公演も行われた小劇場ミュージカルが、キャスト、スタッフを一新し、劇場規模も拡大して再演。ヨル役には、本作のリーディング上演時に出演していたチョン・サンユンに、ソウル芸術団のイケメンホープ、チョ・ブンレ。サダム役には昨年の「風月主」にも出演、今年は「スリル・ミー」で私を見事に演じていたシン・ソンミンと、Mnetのオーディション番組出身のペ・ドゥフンと、今年も韓国のミュージカルマニアが萌えそうなキャストがそろっています。

<今後上演開始の注目ミュージカル>

●「ウエディング・シンガー」(写真)
11月26日~2014年2月9日 ドゥサンアートセンターヨンガンホール
●「チング」11月29日~2014年1月12日 釜山・映画の殿堂ハヌル演劇場
●「ウェルテル」12月3日~2014年1月12日 芸術の殿堂 CJトウォル劇場
●「カルメン」12月6日~2014年2月23日 LGアートセンター
●「ディセンバー:終わりなき歌」12月中旬~ 世宗文化会館 大劇場
「ジャージー・ボーイズ」2014年1月17日~3月23日 ブルースクエアサムソンカードホール



===========【演劇】=============
「鉱夫画家たち」
上演中~10月13日 明洞芸術劇場
出演:カン・シニル、キム・スンウク、キム・ジョンギ、ミン・ボッキ、チェ・グッキほか
⇒「ビリー・エリオット」のリー・ホール原作。2010年に同劇場で初演され、3年ぶりの再演です。
美術史を教えるために講師が派遣されたものの、絵の描き方など習ったこともなかった炭鉱の鉱夫たちを前に暖簾に腕押し状態。そこで直接絵を描かせてみたところ、鉱夫たちは意外な才能を発揮しはじめ、それが画商の目に留まって…という、サクセスストーリーの実話を舞台化。演出は名優が揃う、劇団チャイムのイ・サンウ先生。劇団の所属俳優が多数出演しています。★★★★

「父の家」 
上演中~10月20日 南山芸術センター ドラマセンター
⇒南山芸術センターと劇団風景の共同制作作品で第2回碧山戯曲賞受賞作。父を亡くした4人の若者を中心に、父の存在(威厳や教え)が危うくなってきている現代社会を切り取る物語。「焼肉ドラゴン」に出演していたシン・チョルジン、「青い日に」に出演していたキム・ハクソンら、硬派な演劇作品を中心に活動する俳優たちが多数出演しています。

「かもめ」
上演中~10月26日 ドゥサンアートセンター Space111
出演:ソ・ヨンジン、イ・ユンジェ、クォン・テッキ、夏目慎也、佐藤誠、オ・ミンジョン、佐山和泉
⇒平田オリザが主催する「青年団」の演出部にも所属し、自ら旗揚げした劇団「東京デスロック」を主宰する多田淳之介と、現在ドゥサンアートセンターの支援を受けつつ、劇団「第12言語演劇スタジオ」代表を務めるソン・ガウンの共同演出作品。日韓の演出家と俳優が日本の植民地支配下(日帝時代)を描く作品を共同制作するという画期的なコラボレーション。ぜひ会期中に見に行きたいと思っています。

「オクチョッガ」
10月25日~27日 LGアートセンター
出演:イ・チャラム
⇒幼い頃から天才ソリクンとして活動して大人気。圧倒的な表現力と、パンソリの枠にハマらず、現代音楽とのコラボレーション舞台を作・演出するなど活動にも積極的で、その名前だけで観客を呼べる、パンソリ界の若き名唱(ミョンチャン)、イ・チャラム。彼女が、ブレヒトの「肝っ玉おっ母とその子供たち」をパンソリ劇で上演。昨年同劇場で全公演を見事ソールド・アウトさせた作品をアンコール上演。今年もすでに完売しています。タイトル「억척가」の억척とは、“肝っ玉”の意味。

「トーキー・ブルース」
上演中~10月27日 大学路ヨヌ小劇場
出演:キム・ダヒン、チョン・ソクホ
⇒俳優が実際に現地を旅し、知り合った人々や旅先で起きたエピソードを紹介しながら、フィクションのストーリーを織り交ぜ、セミドキュメンタリータッチでつづるユニークな作品。2011年からロングランしていたインド旅行編の「インディア・ブログ」が好評で、この作品のアイデアをもとにキム・スロが所属俳優たちとヨーロッパを旅したのが、今年上演していた「ヨーロッパ・ブログ」。そして、第3弾が、このトルコ旅行編となる「トーキー・ブルース」です。主演は「インディア・ブログ」でも活躍していた2人。ギターの上手いキム・ダヒンが語り部と歌担当、チョン・ソクホはトルコ旅行での映像を交えて語ります。物語は高校時代の親友だった2人がひょんなことから仲違いしてしまい、過去を回想しながらともにかつての夢だったトルコ旅行に旅立つという話。小劇場作品ならではの密度と温かさを感じられる作品で、観終わった後にじんわりと癒される、いい作品です。おすすめ!★★★★

「劇的な一夜」
上演中~11月10日 大学路ソリアートホール1館
出演:ウォン・ジョンファン、チョン・ソンイル、チュ・ミンジン、チェ・ソンファほか
⇒韓国ドラマでもよくありますが、酔った勢いで一夜を過ごしてしまう、いわゆる”ワン・ナイト・スタンド”をやってしまった男女を描いたラブコメディ。下着姿やベッドシーンなどセクシーな描写があるため、19歳以下観覧不可となっていますが、それほど刺激的でもなく笑って見れる程度です(笑)。
「風月主」「ブッとび!ヨンエさん」などに出演していたウォン・ジョンファン、「女神様が見てる」でブレイクしたチュ・ミンジンなど、この作品にピッタリなコメディの上手いキャストが揃っています。★★★
※当初の予定から公演期間が延長されました。

「ターミナル」
10月25日~11月10日 プロジェクトBOX SEEYA
出演:イ・ミョンヘン、キム・ジュワン、ウ・ヒョンジュ、ソ・ジョンヨン、イ・チャンフン
⇒今夏同劇場で上演していた「14人、チェーホフ」に続き、上演するオムニバス短編演劇集。韓国芸術総合学校の若手劇作家9人の短編を期間中にランダムに上演。出演は「熱い海(熱海殺人事件)」「青い日に」「ヒストリー・ボーイズ」「ステディ・レイン」と最近話題の演劇に次々と出演しているイ・ミョンヘン(この俳優さん要注目です!)に、劇団コルモッキルの若き看板役者キム・ジュワン、女性のみの劇団メンシアターを率いるウ・ヒョンジュと、なかなか凄い俳優が揃っています。
「14人、チェーホフ」も面白かったので、今回も期待です~!

「サボイ・サウナ」
11月1日~10日 ドゥサン・アートセンター Space 111
出演:キム・ジョンフン、アヌパム・トリパティ
⇒ドゥサンが若手クリエイターを育成するプログラムでサポートを受けている、ヨ・シンドンの演出デビュー作。「サボイ・サウナ」とは演出家が幼い頃に通っていた銭湯の名前だそう。演出家はもともと舞台美術デザイナーだということで、セットにも注目です。音楽監督は、「ジーザス・クライスト・スーパースター」で一躍脚光を浴びた、若き天才チョン・ジェイル。

ダンテの「神曲」 
11月2日~10日 国立劇場ヘオルム劇場
出演:パク・ジョンジャ、チョン・ドンファン、チ・ヒョンジュン、チョン・ジュネ、キム・グンミ
⇒青年ダンテが古代ローマ詩人のヴェルギリウスに出会い、地獄~煉獄~天国と、死後の世界への旅に案内される。そこに住む人間たちの業の深さ、醜さ、愚かさを目の当たりにしながら旅を続けていくダンテの葛藤や心情がつづられます。「冬ソナ」サンヒョク父として知られたチョン・ドンファン、「JCS」ではピラート役だった演戯団コリぺ出身、演劇、ミュージカルで活躍するチ・ヒョンジュンらが出演。国立劇場の大きな舞台で、この壮大な物語をどう描くのか気になります。

「パズル」
上演中~11月17日 大学路ハッピーシアター
出演:ホン・ウジン、カン・ソン、チョン・ビョンウク、ウォン・ジョンファン、パク・ミンジョン
⇒英国の劇作家、マイケル・クーニー作の「The Point of Death」を韓国で初演。この原作はライアン・フィリップ主演で「Re:プレイ(原題はThe I Inside)」という映画にもなったそうです。
事故で記憶を失った男の過去をパズルのように紐解いていくサスペンス作で、主人公サイモン役は「悪い磁石」「私とおじいちゃん」「トゥルー・ウエストと、大学路で人気を博した作品に出演してきたホン・ウジンと「英雄を待って」「ブッとび!ヨンエさん」のカン・ソンのWキャスト、ほかチョン・ビョンウク、ウォン・ジョンファンなど、演技の上手い役者が揃ってますよ。

「ダントンの死」
11月3日~11月17日 芸術の殿堂 CJトウォル劇場
出演:パク・ジイル、ユン・サンファ、イ・チャラム、ムン・ヒョンジュ、チェ・ジヨン
⇒原作はドイツの劇作家ゲオルグ・ビューヒナーの戯曲。フランス革命後、共和国制となったものの混乱が続くフランスで実権を握ったロベスピエールが、かつては共に戦ったダントンを標的にしてついには断頭台に送ってしまうという話。出演は、昨年「深夜食堂」に主演していたパク・ジイル、今年初旬に「年老いた泥棒話」に終演していたユン・サンファ、「オクチョッガ」の項で紹介したソリクン、イ・チャラムが女優として出演します。

「ワーニャおじさん」
10月26日~11月24日 明洞芸術劇場
出演:ペク・ソンヒ、イ・サンジク、ハン・ミョング、パク・ユニ、ファン・ジョンミン
⇒チェーホフ四大戯曲のひとつを、韓国演劇界の重鎮、ペク・ソンヒ先生ほか、実力派俳優を揃えて上演。老教授を尊敬し、姪ソーニャと一緒に領地の管理に人生を捧げてきたワーニャ。教授がその領地を売り払うと言ったことから、彼は教授への失望感が深くなる……。教授の若く美しい後妻エレーナに翻弄されるワーニャと医師アーストロフ、アーストロフを想うソーニャ……という絡み合う男女四角関係もこの作品の面白いところ。

「クローサー」
上演中~12月1日 大学路アートワンシアター1館
出演:シン・ソンロク、イ・ユンジ、チン・セヨン、ソ・ボムソク、イ・ドンハ、チェ・スヒョン
⇒出会ってまもなく同棲を始めた作家志望のダンとストリッパーのアリス。ダンが一目ぼれをしたカメラマンのアンナと、アンナと知り合い結婚した医師のラリー…と、4人の男女の愛情が交錯するヒューマン・ラブストーリー。ジュード・ロウやナタリー・ポートマン主演の映画「クローサー」の原作となった戯曲で、韓国では2006年から上演。過去にはリュ・ジョンハン、コ・ヨンビン、オム・ギジュンなど錚々たる顔ぶれが出演していました。
 今年もキャストは豪華です。兵役後、待望の舞台復帰となったシン・ソンロクにイ・ユンジ、チン・セヨン、キム・ヘナなど映画、ドラマで活躍する俳優が多数出演。「洗濯(パルレ)」「悪い磁石」のチュ・ミンジュによる演出にも注目です。プレスコールではミンジュさん曰く「スキンシップが見どころ」とのことでしたが、この作品、濃厚なキスシーンが頻出するのが特徴です(笑)
※当初の予定から公演期間が延長されました。

「三人姉妹」 
11月8日~12月1日 芸術の殿堂 自由小劇場
出演:ウ・ミファ、キム・ジウォン、チャン・ジア、オ・ミンソク、ユ・スンチョル
⇒チェーホフ四代戯曲のひとつである「三人姉妹」を、芸術の殿堂の企画・制作で上演する「チェーホフ演劇」シリーズの第3弾。軍人である父とともに田舎町に住み始めた、モスクワ生まれのプロゾーロフ家の三人姉妹が主人公。父の死後、満たされない生活をおくる三姉妹は、プロゾーロフ家唯一の男兄弟であるアンドレイが妻をめとったことで、それぞれの暮らしに大きな変化が訪れます。
出演は、演劇賞の受賞歴がある演技派俳優揃いです。

「ピローマン」
11月20日~12月15日 忠武アートホール 中劇場ブラック
出演:キム・ジュンウォン、ソン・ジュンハク、ホン・ウジン、チョン・テミン
2007年の韓国初演ではチェ・ミンシクをはじめ、演劇界の名優勢ぞろいだった作品を、昨年5年ぶりに再演。ドゥサンアートセンター Space111で上演され、完売続出した名作が待望のカムバック。日本では2004年に長塚圭史演出、高橋克実、山崎一らの出演で上演されています。
 残酷で救いのない童話ばかり書いている作家カトゥリアンの周囲で、童話と似た殺人事件が起こり、容疑者としてカトゥリアンが逮捕されます。彼には知的障害のある兄ミハイルがいて、ミハイルは長年両親に虐待されていた過去をもつのですが…。登場人物は4人、物語が進むにつれ、カトゥリアンとミハイル兄弟、取り調べする刑事2人の素性が明らかになっていくのですが、なんとインターミッションをはさんで3時間上演という長編ながら、緊張感がまったく途切れません。ブラックなストーリーですが、影絵を使ったり、ファンタジックな演出を工夫されていてそれほど怖さはないですよ^^ 
昨年カトゥリアン役だったキム・ジュンウォンと刑事トゥポルスキ役のソン・ジュンハクが今年も出演(この2人が重要なんです)、兄ミハイル役を最近精力的に演劇に多数出演しているホン・ウジンが演じるのも注目です。個人的には昨年見た演劇の中ではベストでした。激押し作!★★★★★

「恋愛時代」 
上演中~12月29日 大学路自由劇場(旧PMC自由小劇場)
出演:キム・ジェボム、イ・シンソン、チョ・ヨンギュ、シム・ウンジン、ファン・イニョン
⇒故・野沢尚の同名小説が原作。2006年にソン・イェジン、カム・ウソン共演でドラマにもなりました。
離婚後も何かにつけて会っていた元夫婦が、それぞれに新しいパートナーが現れつつも気になってしまう微妙な感情を繊細につづってあります。2011年の初演にはキム・ダヒョンや、リュ・スンワン監督映画の常連でもあるキム・スヒョンがW主演でした。今年は「風月主」などで来日公演も行い大忙しのキム・ジェボムや、元Baby B.O.Xのシム・ウンジンなどが出演。

「笑の大学」
11月8日~ トンスンアートセンター トンスンホール
出演:キム・スンデ、チョン・テウ、リュ・ドックァン、ソン・ヨンチャン、ソ・ヒョンチョル
⇒三谷幸喜の同名原作の2人芝居。あらゆる作品が検閲されていた戦時中を舞台に、カタブツな検閲担当の警察官が、劇団の座付き作家に台本の書き直しを執拗に何度も命じます。水と油のように見えていた2人が、台本の内容について会話を交わすうち、2人の間に友情のような妙な感情が生まれていく過程が面白いです。08年に韓国版が初演され、超ロングラン上演していた作品が約2年ぶりに戻ってきます。作家役の3人と、ソ・ヒョンチョルはいずれも初出演。検閲官役のソン・ヨンチャンは初演からずっとこの役を演じています。韓国版も、日本オリジナルに負けないくらい面白いですよ^^★★★★

「モクラン姉さん」 
11月19日~12月29日 ドゥサンアートセンタ Space111
出演:ファン・ヨンヒ、アン・ビョンシク、キム・ミョンギ、パク・ジファン、チョン・ムンソン
⇒北朝鮮の平壌から、不慮の事故で南に渡ってきたモクランの苦労を描き、南北分断の現実を映し出す作品。昨年同劇場で初演した作品を再演。キャストも若手俳優中心に変わっています。

<今後上演開始の注目演劇>
「裵裨將傳(ぺビジャンジョン)」 12月14日~18日 国立劇場ヘオルム劇場
「ステディ・レイン」 12月21日~2014年1月29日 忠武アートホール 中劇場ブラック


※紹介作品についてのご質問などありましたら、コメント欄からお問い合わせください。
私が分かる範囲でしたら、お答えできると思います。